Fx0は2023年に何ができるのか。
皆さんは「Fx0」というスマホをご存知ですか?
Fx0 は日本で唯一の Firefox OS 搭載スマートフォンでしたが、残念ながら全く売れず残った在庫が「東京湾に沈められた」「海外に転売された」といった噂が流れていたほどでした。[参考]
そんな Fx0 ですがなんと実機を入手することができたので今回はそれで何ができるのかをレビューしていきます。
その前に
その前に Fx0 について紹介。
Fx0 は 2014 年に au で発売されたスマートフォンです。
この機種の最大の特徴は、先ほども触れましたが Firefox OS を搭載していることです。
Firefox OS とはかつて mozilla が開発していたモバイル OS です。
(なおカーネルやディレクトリ構成等、低レイヤー部分は Android と共通)
簡単に言うと OS 自体がブラウザになっていて HTML や Javascript で非常に簡単にアプリ開発ができることが特徴でした。なんとロック画面や UI まで HTML5 で作られています。
Firefox OS はいわゆる第三の OS (Android・iOSへ対抗)になるはずでしたが全く普及せず最終的には、2016年にサポートを終了してしまいました。
(なお現在は KaiOS というフィーチャーフォン向けのフォークが存在しそちらは開発が続いている)
ということで 2023 年に Fx0 は果たして何ができるのかを検証していきます。
(ゴールドを基調としたデザインはかっこよく、またバッテリーに「Firefox OS」の文字が入っているのも作りが細かい)
スペック
検証する前にまずはスペックについて見ていきましょう。
8年前以上前のスマホなのであまり期待してはいけません。
CPU | Snapdragon 400 (1.2GHz x4) |
RAM | 1.5GB |
ストレージ | 16GB + up to 64GB MicroSD |
OS | FirefoxOS 2.0 |
バッテリー | 2370mAh |
画面解像度 | 720p 4.7 インチ IPS 液晶 |
カメラ | 800万画素 |
製造元 | LG Electronics |
Snapdragon 400 はローエンド CPU ですが Firefox OS を搭載したスマホの中ではいい方です。
例えば開発者向けの Flame という機種だと 200 番台なので..
動作感
スペックの割には OS の UI はサクサク動きます。
起動も爆速で端末の電源を入れてから操作が可能になるまで20秒しかかかりません。
あと、バッテリー容量の割には少し持ちがいい気がします。
もともと Firefox OS 自体が軽いのとバックグラウンド処理が少ないのでリソースに余裕があります。
(RAM の空き容量を確認してみた。OS 起動直後は約 850MB 空きがある。ちなみに Firefox OS は ADB が使える)
UI
次に OS の UI を紹介しょう。
縦スクロール方式のホーム画面は Windows Phone 、
ロック画面やコントロールセンターの UI は当時の iOS や Android に使い勝手が似ている。
UI についてはこれくらいにして、次は Wi-Fi に接続してアプリが使えるのかを検証していきます。
アプリのサポート
Fx0 はスマホですからアプリが使えないと何もできません。
まずは最初から入っているアプリ6つは使えるのか見ていきたいと思います。
まずは LINE 、よく見るとなぜか最新の利用規約が表示されるのでいけそうな雰囲気はありますが
アプリのバージョンが古すぎて案の定ログインから画面が進まず。
LINE 以外もそれぞれ試してみましたが、何も確認できない 「NAVITIME」 、
初期設定画面から一切進まないノーコードでアプリが作れるアプリの 「Framin」 、
災害情報を取得できない「災害対策」アプリ
内蔵ブラウザのバージョンが古いためログインできない 「Facebook」.....
という結果でした
各アプリの API の仕様が9年以上にわたって大きく変わってきたので、こればかりは仕方ないですね。
ちなみに LockScreens はリアルタイムで更新されるニュースや地図、さらには Twitter のツイートが表示される壁紙といった特徴的なロック画面が設定できますが、いずれもやはり全く機能しません。
最初からインストールされているアプリは全滅といった感じでした。
ということで、マーケットプレースを開いてみようと思いまーす!
あ。
アプリをインストールするためのマーケットプレースも 2018 年にサービス終了しています。
また、設定画面を見ていたら Firefox のアカウントにログインできそうなのでやってみましたがこれも「サービスが利用できない」と言われ無理でした。
といった感じで現在はサポートが終了したため、ネットに接続して使う系の機能は残念ながらほとんど動きません。
ちなみにブラウザの動作に関しては、一部のサイトはまだ見れることがありますが
内蔵ブラウザのバージョンが Firefox 32.0 相当とかなり古いため、例えば YouTube や Twitter は表示できません。
また、OS 標準のレンダリングエンジン以外は使えないのでブラウザを変えてやるとか無理です。
ちなみにぶどぶどうの部屋は見れました。
結論
ほぼ何もできません。
マーケットプレースや Firefox アカウントといった OS 内のサービスも終了し、
そしてプリインストールされてるサービスは全て使用不可能な上にブラウザもロクに使えない。
しかし、まだまだ希望はあります。
実は開発者ツールを使えばオフラインでアプリをインストールできるのです。
また、 Android 4.4 のカスタム ROM がリリースされているようです。
しかし、 Android をインストールすると、せっかくの Firefox OS がもったいないので僕はこのまま使います。
なお僕は Fx0 で何も出来ることが無くても、動作品が手に入ったので満足です。
本体デザインはかなりかっこいいですし、何よりもこの OS の謎が解けたので個人的には買って良かったと感じました。
この端末は部屋に飾っておこうかと思います。
以上、「Fx0は2023年に何ができるのか。」でした。
では!
おまけ:野良アプリインストールについて
前述したとおりマーケットプレースが終了している為現在はアプリの追加は出来ないはずですが、
なんと開発者ツールが用意されているのです。
今回はこの方法を使い FirefoxOS にアプリをオフラインインストールできました!
1.まずは自己責任で PC に旧バージョンの Firefox をインストールし、自動更新を無効化。
※今回は 52.0 をインストールしました
2.adb-helper拡張機能をインストールする
3.Fx0 で環境設定>端末情報>その他の情報 に開発者メニューの項目があるのでそれを ON
4.Fx0 の環境設定の一番最初に戻り 開発者>USB 経由のデバッグを「ADBと開発ツール」に設定
5.PC の Firefox で 三>開発ツール>WebIDE の順に開く
6.PC と Fx0 を USB で接続すると LGL25 として認識される
※ちなみにこのツールを使うと Firefox OS のエミュレータが起動できる
7.Firefox OS のアプリをダウンロード
有志によるマーケットプレイスのアーカイブから zip ファイルを摘出するか、GitHub で Firefox os app と検索して Firefox OS のアプリを探すなどして、 アプリのパッケージの zip を入手して解凍
8.
①パッケージ型アプリをクリックし、manifest.webapp があるフォルダを選択
②インストール先の端末を選択
③再生ボタンを押す
この手順を踏まえてようやく Fx0 にアプリをインストールすることができました。